重症心身障害児施設は、人工呼吸器や経管栄養を要するなど、深刻な容態の子どもたちが少なくありません。息をするのもやっとで、コミュニケーションが難しい子どもたちもたくさんいます。言葉のやり取りが困難な障害児と意思疎通を図るためには、子どもたちの表情の変化を読み取るデリカシーが不可欠です。しかし、時には障害児の意思を汲み取れず、子どもの意向に沿った看護ケアを施せないこともあるでしょう。こうした問題は、ベテラン看護師にも起こりうることであり、必ずしも経験によって克服されるとは言えません。

子どもの心情を最も察知できるのは大抵の場合親なので、親との連絡を頻繁に取って子どもたちの心情把握を誤らないよう注意することが好ましいです。また、重篤化しやすい患者を扱う重症心身障害児施設では、より慎重な看護ケアが求められます。脆弱な子どもを抱える保護者たちは、我が子の容態変化に神経をすり減らしているので、看護師は医療過誤に至らなくてもこれに類するミスを避けなければなりません。万一些細なミスを犯してしまったら、保護者にただちに連絡し丁寧に説明することが大切です。さらに、重症心身障害児施設では子どもたちに介護が必要で、看護師も介助行為を施すことがあります。重症心身障害児施設には介護専門のスタッフもいるため、どこまで看護師が介護を行うかという線引きの問題が生じるでしょう。看護師がメインで介護を行うことが適切な場合もあり、介護スタッフとも十分な意思疎通を図る努力が欠かせません。